税務相談Q&A

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税理士法人鶴田会計 株式会社鶴田経営会計・鶴田幸久が答える税務相談Q&A
東日本大震災で寄付をされた場合の所得税の寄付金控除
H23年度においては、東日本大震災に関して、個人で寄付をされたほうも多くいらっしゃると思います。
H24年3月15日が個人の確定申告の申告期限となりますが、東日本大震災で寄付をされた金額は、 確定申告において寄付金控除の対象となる可能性がありますので、ご確認いただきたいと思います。

寄附税制については今回の震災にあたって改正されており、税制上の特例措置がいろいろと講じられています。
 たとえば、所得税では税額控除を選択できる範囲が増えていますし、 住民税では従来5,000円を超える金額が対象となっていたものが、2,000円を超える金額に改正されています。
 ただ、所得税は受けられても住民税は受けられない場合もあり得ます。 支払先がどこなのか、どういった使徒のものなのか、を十分に確認する必要があります。
 "東日本大震災"とつけば、何でもいいものではなく、所得税は『特定寄附金』に該当しなければ控除の対象になりませんし、 住民税は自治体によってまちまちだったりします。
 たとえば、NPO法人が東日本大震災の被災者支援活動を行う資金の寄附を募ったとしても、 全てのNPO法人への寄附について所得税の寄附金控除が適用できるとは限りません。 NPO法人の場合には、認定NPO法人で、かつ、国税局長の確認を受けたものでなければなりませんし、寄附金の募集期間も決まっています。

また、所得税では税額控除を選択できる範囲が増えていると前述いたしましたが、税額控除を選択できるのは、一定の寄附に限られます。 たとえば、特定震災指定寄附金に該当する場合です。これは、中央共同募金会に対する寄附のうち、 被災者のために活動するボランティアグループやNPOへの支援金「災害ボランティア・NPO活動サポート募金(通称:ボラサポ)」と、 先ほどの国税庁の確認を受けた認定NPO法人で一定のものに限られています。(震災特例法8②)
 また、平成23年分からは、一定の認定NPO法人や一定の公益社団法人等に対する寄附についても、 税額控除と選択することができるようになりました(措法41の18の2②、41の18の3①)が、要件はあります。
 東日本大震災への寄附をされた方が、どこに対する寄附でも税額控除と選択できると勘違いされたケースがありますので、この点も注意すべきでしょう。
 たとえば、日本赤十字社へ「東日本大震災義援金」を送金した場合、その寄附は、震災関連寄附金に該当しますが、 特定震災指定寄附金には該当しません。震災関連寄附金は所得金額の80%相当額が上限となり、送金された義援金とどちらか低い金額が特定寄附金となります。 ここから2,000円を差し引いた金額が寄附金控除額となり、所得金額から控除することができます。 もし、寄附されたのが震災関連寄附金以外ですと、上限は所得金額の40%となります。


参考:
  (震災関連寄附金以外の特定寄附金の額の合計額①+震災関連寄附金の額の合計額②)-2,000円=寄附金控除額
     注意:①は、所得金額の40%相当額が限度。
         ①+②の合計額は、所得金額の80%相当額が限度。

何に該当するのかですが、通常は、義援金を送金等した場合に受け取る受領証や領収証あるいは、 寄附する団体のホームページや寄附の案内などに受けられる優遇措置が記載されています。
 該当するものが何かわかりづらい場合、まずはそれらをご覧いただき、それでもわからなければ寄附団体へ問い合わせるとよいかもしれません。 特に優遇税制が受けられる場合には、寄附を募りやすいため、何らかの明示がされているはずです。
 
 なお、確定申告される際には、寄附金の受領証等の書類が必要です。日本赤十字社への「東日本大震災義援金」の送金の場合、 振込証がそのまま必要書類となりますので、忘れないようにしてください。
 また、実際に確定申告される際には、「住民税に関する事項」の記載に注意してください。ここは所得税で適用できる金額ではない点はご注意ください。